幸せまでの距離


メイはマナに会うたび、自分と似て非なる何かを感じずにはいられなかった。

それは親近感に近いようで違う。

矛盾した想いであり、メイはヘビのように胸をはいずり回るむずがゆさを覚えていた。

“もしマナさんも男が嫌いだったんだとしたら……。

なぜシュンと付き合ったの?”

ミズキとリクを除き、どうでもいい存在には基本的に『さん』や『君』といった敬称を付けないメイである。

マナに対する親近感が寸前のところでプッツリ切れてしまうのは、マナがシュンと付き合っているから。

メイとは違うマナの心情。


『メイとマナは似てる』

一度だけミズキがそう言っていたのを、メイは聞き漏らしはしなかった。

ミズキの言葉をほぼ100パーセント受け止めているメイは、そう言われて以来マナのことが気になって仕方なかったが、今日は正直、そんなマナに会いたくなかった。

リクと微妙な雰囲気で別れてきてしまったから……。

“私と同じ人間なんて、いるはずないじゃん……”

マナがメイに似ていると言われた時、メイはわずかばかり嬉しく思ったのだ。

こんなみじめな経験をしてきたのは自分だけではないのだと思え、孤独感が癒されるようで。

でも、

リクに会うたび、

マナと話すたび、

それは幻想なのだと思い知らされた。