幸せまでの距離


メイはひとりになりたくて、自室にこもった。

スーツも脱がず、今朝起きた時のまま乱れているベッドに全身で倒れこむ。

“まさか、マナさんが来るなんて。

まいったな……”

今、いちばん、会いづらいと思っていた人だ。

メイはマナのことが嫌いではないし、むしろ良い意味で気になる存在である。

ミズキは口が堅いので決して口外しないが、マナには人に言えない過去がある。

マナのことを詳しくは知らないが、メイはそれを見抜いていた。

それだけではなく、弁護士を装ってメイに近づいてきた宇都宮を退治したとき、マナはたしかにこう言っていた。

「ああいう男がいるから、何の罪もない女性が泣き寝入りしなきゃならないんだ!」

それをそばで聞いていたミズキとシュンは同意を示すように暗い表情で目を伏せ、マナの背中をなでていた。

メイはそのワンシーンを、どうしても忘れられずにいる。

“マナさんも、男に関して何かあったんだよね。過去に……”