幸せまでの距離


マナとミズキは目を見合わせる。

メイは普段から無表情なので、彼女と出会ったばかりの者は、その表情からメイの感情を正しく読み取ることは簡単ではないだろう。

しかし、マナとミズキは違う。

戸籍上だけとはいえミズキはメイの姉である。

マナもメイに対して情があるし、ミズキの妹になった子だ。

とても他人とは思えない。

そんな二人にとって、メイがリクの話を避けていると察するのは難しいことではなかった。


三人を乗せた電車は、滞りなくいつもの日常風景を走り抜けていった。

タイヤがレールを滑る音が、リズミカルに、かつ不定期的に繰り返される。

空や町並み、遠くに弧を描く水平線も、自然の色をしている。

なぜだかそれが、メイの心をしめつけていった。