リクにとって、ショウマは大切な友達になれそうな人物だ。
ショウマのことを全て知っているわけではないが、ショウマは悪意で他人に不愉快な発言をするような陰険な男子にも見えない。
しかし、その無条件の信頼感はメイへの想いを上回るものではなく、リクは無意識のうちにメイを庇(かば)っていた。
「ショウマ。メイには悪気はないんだ。
さっきも言ったけど、メイは純粋で、傷つきやすいんだ……。分かってやって?」
「……リクがそう言うなら。
私情入って、つい。メイちゃん、ごめんね」
ショウマは存外素直にリクの言葉を受け入れ、申し訳なさげにメイに謝ったが、メイは静かな怒りに眉をひそめたまま、
「気分悪い。帰る」
と、二人に背を向け去ろうとする。
「メイ、ごめんな」
リクは、自分がショウマを連れてきたせいでメイの気持ちを乱してしまったと感じ、メイに謝る。
「フォローしてもらっておいて何だけど、あんたが思ってるほど私は純粋でもイイヤツでもない。
……一人にして」
メイは口早にそう言い、何かから逃げるようにその場を立ち去る。
有無を言わせぬメイの雰囲気にのまれ、リクはしばらくの間動くことができなかった。


