メイはちらりとリクを見やり、バッグを 抱きしめうつむく。
「誰もいないなんて、違う。
リクがいる……」
「うん。メイが海水浴楽しむところ、見 てたらダメ?」
「私の体……。皮膚、汚いから」
震えるメイを見て、リクは明るく返し た。
「汚くないよ」
「見たことないクセに、いい加減なこと 言ってる」
「いい加減かどうかは、水着着てくれた ら分かるよ。
騙されたと思って、ね!」
「……」
態度で示す。リクの言葉を信じ、メイは 水着に着替えることにした。
長年、自分の皮膚を見るのが嫌いだっ た。
傷痕を見るたび、自分のことを両親の手 で焼却炉に放り込まれたゴミのように思 えてならなかったからだ。
受け入れてもらえる自信など、カケラも ないけれど……。
商店の中で水着に着替えたメイは、パー カーを羽織りビーチサンダルをはいて、 リクの待つ砂浜へ向かう。
緊張で、背中に汗が伝い、心臓が激しく なっている。
メイの心境とは裏腹に、リクはノンキに 大きなパラソルを設置し、ビニールシー トの休憩スペースに日陰を作っていた。 商店で借りてきた物だろう。
踏みしめる砂が、ビーチサンダル越しに 熱を放ち、メイの不安は最高潮に達し た。
パーカーの裾からのぞくパレオ。その下 からのぞく太ももには、ヤケドの痕が 残っている。
翔子に熱湯をかけられた時のものだ。
連動するように、メイは次々と体に受け た暴力のことを思い出した。
足はまだ、マシな方。背中に複数あるタ バコの痕に比べたら……。
リクがもし、その傷痕を見て気味の悪そ うな顔をしたら……?
真夏にも関わらず、メイの顔色は一瞬の うちに青くなる。


