幸せまでの距離


「ごめん、待たせた?」

「ううん、そんなに」

答えるメイの席には、空になったレモン ソーダのグラスがあった。

メイが、そうとう長い時間待っていたこ とを、リクは察した。

「ノド渇いたよな。今日、暑かったし。

メイ、おかわりは何がいい? 俺のと一 緒に頼むよ」

「……じゃあ、リクと同じやつ」

「わかった!」


注文を終えて少しすると、二人のテーブ ル席にはレモンソーダのグラスが二つ運 ばれてきた。

「メイの好きなやつ、飲みたかったん だ」

リクは言い、グラスにさしたストローを 勢いよく吸った。炭酸の刺激とレモンの 甘酸っぱい味が、口いっぱいに広がる。

「なんか、レモン味って『夏!』って感 じがする!」

「ああ、なんとなく分かる」

メイは微笑しつつ静かに返し、家で書い た手紙をテーブルの上に置いた。

「直接言うの苦手だから、そこに色々書 いた。ヒマな時に読んで」

リクはグラスをどけ、そっと手紙を広げ た。

心臓が震える。何が書いてあるのだろ う?


メイがこうして手紙を渡したのには、理 由がある。

大切な気持ちは、いつでも、手紙によっ て伝えられてきた。

初恋相手のリョウも、恩人の清も、大切 な想いを紙に綴って残してくれた。

電話やメールといった手軽な手段を使お うと考えたりもした。

しかし、やはり、ここは手紙で、リクに 気持ちを伝えたいと思った。

直接言葉で伝えるのが恥ずかしいという 想いも、確かだけれど。