幸せまでの距離


「触っても、いい?」

メイは、マユミに尋ねた。

マユミは嬉しそうに、

「もちろん」


小さく震える右手で、メイはマユミのお 腹に手をあてた。しばらくして、そっと 手を引っ込める。

新しく芽生えた命。

なぜだか、涙がこぼれた。

メイは手の甲で静かに頬を拭く。

「メイちゃん。この子が生まれてきた ら、抱いてあげてほしいの。いいか な?」

メイの頭をなで、マユミは言った。

「シェルのことで、つらい思いをさせた よね。もう、大丈夫だからね」

「……うん。生まれたら、抱かせて」


まだ、声も出さないし顔も見えないの に、たしかに育まれている命。

メイは、マユミの妊娠に衝撃を受けた。

身近な人が命を授かるという体験は初め てだった。