幸せまでの距離


メイはさらに、今の気持ちをノートに 綴った。

《欲を捨てれば楽に生きられる。

でも、生きていく以上、欲は尽きない。

私自身、変わりたいと願ったことも、欲 なんだと思う。

それでいいんだ。


リクとは違う境遇にいるから遠い存在だ と、敬遠してた。

リクは、傷のない強さを持っていた。

私は、傷のあるもろさを抱えていた。

だから、二人で居たらちょうどいいのか もしれない。


もうひとつ、気付いたことがある。

リクや、周りの男に向けていた憎しみや 嫌悪感。あれは、他でもない、私の親に 向けたものだった。

親に嫌われ、利用されていたことを認め たくなかったから。

親にされたことをありのまま受け入れて いるフリをして、心の底ではねじ曲げて 解釈してた。

親に向けるはずだった怒りや悲しみを、 身近なリクにぶつけていたんだ。


全ての感情をぶつけられる親なんて、私 にはもう必要ない。


わかったんだ。私は、親に愛されたかっ た小さな子供だったってこと。強がって 反抗的な言動しかできなかったこと。

今は、そんな自分を可愛く思う。愛しい と思う。


実の親に対しての気持ちも変わってき た。

親として見たら最悪な人達だったけど。 あの人達は未熟な人間だったんだ。翔子 も、保も。

私は間違った大人にはならない。周囲や 自分を傷つけないように生きる。それで いい。


自分の弱さを克服して、強くなる。

もう、自分で自分を傷つけるのは嫌。》