笹原は、メイのありのままを受けとめ、 根気よく話を聞いてくれた。
《笹原先生に会ったばかりの頃は、半信 半疑だった。
カウンセリングなんかで、人の心 を……。長年引きずってきたものが消え るわけないってさ。
たしかに今も、昔を忘れてないし、不公 平な体験を思い出すと腹が立つ。
でも、前とはちょっと違う。
悪いことばかり考えてしまう自分も、自 分の一部なんだと思えるようになった。
もう一人の自分がどうして怒ってるの か、悲しんでいるのか、泣いているの か、考えてあげられるようになった。す ると、どんな気分になっても冷静になれ る。自分という味方がいるから。
私の傷を誰よりも理解できるのは私自 身。無理に変わる必要なんかない。
そう教えてくれたのは、笹原先生だっ た。
死にたいと思っても、その中にほんの少 し『生きたい』って気持ちがあるうち は、生きてみようと思う。
今までとは違う明日を見てみたい。
私は今まで、過去を生きていたんだ。み んなは今を生きているっていうのに。》


