幸せまでの距離


最後はもう、祈るような気持ちだった。

過去を書き残すはずが、いつの間にか、 願望を綴る場になっていた。

小さくため息をつき、メイは鉛筆を離し た。手に汗をかいている。

なんだか、ドッと疲れを感じた。

「慣れないことしたな……」

イスから立ち上がり、ケータイを見た。

カナデからメールが来ている。

《退院したら、ウチにご飯食べにきて ね。

お母さんが、メイちゃんに会いたがって るからさ!》

照れくさい。カナデが手首を切った時、 救急車を呼んでカナデを助けたことを、 彼女の母親はすごく感謝していた。

「リクのおかげなのに……」

つぶやきつつも、メイは前向きな返信を してベッドに向かった。

眠りかけていた猫達を毛布の中に入れて やり、自分も中に入る。

目が覚めたのか、猫達はもぞもぞ動き始 め、メイの体にすりよってきた。

「よしよし。おいで」

昔、親にされたかったことを、猫達にし た。

一匹一匹に対し、優しく頭をなでてあげ る。

「ずっと、一緒にいてね」

メイはそのまま、眠りについた。

猫の体温が、自然にそうさせてくれた。