幸せまでの距離


《お母さんは……翔子は、自分が老いて いくことに不安を感じていた。独身時 代、舞台女優をしていたから、それも仕 方ない。

昔から、「結婚してから老けてみられ る。メイのせいだ」と、翔子は私を責め た。

老いの怖さなんて、今の私には分からな い。いつか分かる時がくるの?

「年寄りは男に相手にされない」 「若い女がムカつく」

翔子の口癖だった。

幼い頃は、翔子の言葉をそのまま飲み込 み、信じていたけど、その時は翔子の思 考に反発した。

メグルの祖母…清ばあちゃんに関わって いたからだ。

人の価値は、年齢で決まるものじゃな い。むしろ、歳をとるごとに魅力が増す んじゃないの?

世の中、全体的に若い方が有利って風潮 が強いけど、メディアに流されすぎな気 がする。情報に操作されてる気さえして くる。


私は、清ばあちゃんみたいになりたい。

ちょっとのことを笑い飛ばして、細かい ことは気にしない。なかなか出来ること じゃないと思う。


私には、清ばあちゃんみたいに生きるの は無理だろうなって、めげたりもする。 けど……。変わりたい。


痛みばかりの記憶も、誰かと打ち解けた い気持ちも、人間嫌いな自分も、全部、 本当の私。

自分を好きになりたい。

せめて、自分を好きでいてくれる人たち とは、前向きな関係を築いていきたい。

過去は忘れられないけど、忘れさせてほ しい。》