その日のカウンセリングは、そこで終了 となった。
メイが、それ以上話せなくなってしまっ たからである。
帰り際、笹原はメイに、一冊の大学ノー トを渡した。
「ここには、普段言えないことや、口に できないことを書いてみてほしい。
毎日じゃなくていいよ。気が向いたら、 好きなだけ綴ってね。
次のカウンセリングの時に、目を通した いから」
笹原は、人好きのする微笑をたたえる。
「今日は、来てくれてありがとう。話せ て嬉しかったよ」
メイは無言で頭を下げると、そっとノー トを受け取り、ミズキと共に笹原研究室 を出た。
帰り道、メイは何かを考え込み、家に着 くまで無言だった。
メイに合わせるように、ミズキも口を開 かなかった。
今日のカウンセリングが、メイにとっ て、新しい人生を生きるための第一歩と なれば……。
ミズキは願い、自室に入るメイを見送っ た。


