メイは感じていた。自分を好きにならな いと、他人の好意にも裏を感じてしまう と。
「好きになれないと、一生このままだと 思う。
孤独で、自分本位なまま……。
そんなの、今までと何も変わらない。
暗い場所に居るのは、もう嫌だ……」
明るくなくてもいい。
普通に、平穏な暮らしができればそれ で……。
笹原はうなずき、
「よく、気付いてくれたね。
メイさんの明確な意思表示を、待ってい たよ」
「だから、いろいろ訊いてきたの…?」
メイはおそるおそる、目を見開く。
「そうだよ。こうなりたい、心の闇を振 り払いたいというメイさんの強い意思 が、カウンセリングにはなにより重要な んだよ。
メイさんの話す言葉は全て、私達カウン セラーにとって治療に必要な道標(みち しるべ)となるから。
言いたくないことは話さなくても大丈 夫。
可能な限り、メイさんの心に関わる話題 を教えてほしいんだ。
私の方からも、いろいろと提案をしてい きたいと思うから」
「わかった……」
「メイさんは、こう答えていたね。
今まででもっとも衝撃的だったことは、 男女の違いを知った日のことだと。
男女の違いを知って、どういう風に思っ たの?」
「幼なじみの男子が、急に違う人間に見 えた……」
メイは、リクのことを話した。
いつ、男女の違いを知ったのか、記憶は あやふやだった。
幼い頃父親に性の対象にされた日からな のか、中学生の時だったのか。思い出し たくもない。
「私にとって、リクは唯一の理解者だっ た。他のみんなが私を避けても、リクだ けは変わらなかった。
なのに、リクが女じゃないってことを思 い知った瞬間に、打ちのめされて……。
裏切られたような……。顔も見たくない くらい、憎たらしくなった……」


