「山本さんにそんなことしてもらうわけ にはいかないって!」
ショウマはそう答えるほかない。涙を拭 きながら言葉を継いだ。
「本当の親だからって、気ィ使わないで よ」
「気を使ってるのは、ショウマの方じゃ ないか」
「え…?」
山本の言葉に、ショウマは口をつぐんで しまう。
「本当の親子なんだから、それくらい甘 えてほしい。
遠慮されると寂しいよ」
「でも、山本さんは経済的に苦しいか ら、母さんに俺の親権を持たせたんで しょ?」
「それはちょっと違うぞ。母さんが、今 の旦那さんと一緒にショウマを育てたい と言ったからだ。
ショウマを養うだけの稼ぎはあるし、本 当なら、自分の元でショウマを育てた かった」
山本は、長年抱えてきた胸の内を語っ た。
「ショウマのことを想いながら、毎日工 場で働いてたよ。
誕生日にはプレゼントやケーキを買って あげたいとか、クリスマスには遊びに連 れてってやりたいとか、そんな、叶いも しない夢を描きながらさ……。
バカみたいだろう。でも、それが、そん な夢の数々が、生きる勇気を与えてくれ たんだよ。
だからせめて、大学費用くらい出させて くれないか?
そしたら、少しは気が晴れる……。
親らしいこと、させてくれ、ショウマ」
山本はうつむき、片手を口に押しあてて いる。涙を我慢しているようだった。
ショウマはしばらく考えた後、こう返事 をした。
「俺は将来、山本さんの工場の後継ぎに なりたい。
俺を、山本さんと同じ戸籍に入れてほし い。
そしたら、山本さんのお金で大学を続け させてもらう。
今みたいに中途半端な関係じゃなく、 ちゃんと、本当の親子になりたい。世間 に対して堂々としていられるようにさ。
誰にもビクビクせず、イライラしたりも せず、新しい人生を生きたい。生まれ変 わりたい。
山本さんや、リクと一緒に…!」


