幸せまでの距離


「そうだよ。山本さん。俺は今まで、友 達に恵まれなかった。

せっかく仲良くなれそうなコがいても、 全部、親の一言でぶっ壊されてきた。

大学にきて、リクと知り合って。リクだ けは、一生俺に付き合ってくれるかもっ て……思ってた……でも……」

ショウマは泣いていた。

「リクのことも大事だけど、山本さんと 会えなくなるのだって、嫌だ……。

大学辞めて自由になるのがダメなら、他 にどうしろって言うんだよ……」

ショウマは限界だった。実家の親に人間 関係の自由を奪われることも、恩着せが ましい言動をされるのも。

リクは立ち上がるとショウマのそばに行 き、彼の背中をなでた。

“ショウマ……。長い間、実家でつらい 思いをしてたんだよな……。

それでも、真っ直ぐ正しい道に進もうと 努力して……。

大学を辞めることだって、すごく苦しん で出した結論だったんだ。

それだけ、山本さんや俺との関わりを大 切にしてくれてたんだ……”

ショウマの背中をなでることしかでき ず、リクは歯がゆかった。

自分がもっと大人だったら、ショウマの 助けになれたのかもしれないのに……。

以前、メイに対しても同じことを考えて いたのを思いだし、リクは自分の立場を 痛感した。

無力な子供。理想を口にすることでしか 今にすがれない弱い立場……。


「ショウマ。大学を続けなさい。 お金は出せるから。

父親として、お願いだ」

しんみりした空間に、山本の声が力強く 響いた。