幸せまでの距離


それから二人は、どちらかともなく黙り 混み、ゆるやかな歩調で歩いた。

こうやって落ち込んでしまう時は、通り すがりの見知らぬ他人が楽しそうな感じ に見えるな、と、ショウマは思った。

その横で、リクは考える。

ショウマの願いを叶える方法はないのだ ろうか、と。

大学には、様々な学生がいる。

リクのように、夢を叶えるために入学し た者もいれば、とりあえず大学生になり たかったからと、漠然とした理由で来て いる者もいる。

就職に有利だからと考える学生も一部い るが、大半の学生が、遊びたいから。合 コンしたいから。といった、『今の楽し みだけ』のために入学してきたと聞く。

リクのように、弁護士になりたくて法学 部に入ったという学生は、思いのほか少 数である。

そのことを考えると、リクは、やはり世 の中の不平等さというものを感じてしま う。

“ショウマみたいに、大学に居続けたい 人がいるそばで、何の目標もなく楽に大 学生をやっていられる人もいる……。

別に、遊びたい人は遊びたい人で、好き にすればいいと思う。否定する気はない し、俺には関係ないことだから。

でも、ショウマみたいに熱心な学生が通 えない現状には、やっぱり、納得いかな いよ……”

奨学金の申し込みを考えてみたが、ショ ウマの家族構成や親の職業を知っている 大学側は、奨学金の受付を拒否すると考 えられる。

元々、奨学金制度は、アカネのように、 金銭的に大学に通うのが厳しい環境にい る学生のために作られたもの。

ショウマの家庭環境のいざこざなど、大 学側は考慮してくれないだろう。

悔しいけれど、リクには良い案が浮かば なかった。

“悔しいよ……。友達が困ってるのに、 何もできないなんて……”