幸せまでの距離


「子ども…!?」

メイの心臓は飛び出しそうになった。い きなり、何を言い出すのかと思え ば……。

何と返していいのか分からず固まるメイ に、リクは慌てて顔を赤くし、

「いやっ、そのさ、何ていうか、変な意 味はないんだけど…!

メイと子猫達に会いに、これからもここ に来たいなぁって思ってる。メイがよけ れば、だけど……。

猫、けっこう好きだし」

リクが照れくさそうに言うものだから、 妙に恥ずかしくなり、メイはそっけなく こう返した。

「来るのはいいけど、半端な情をかける だけならやめて。

樋口みたいな人間とは、もう、接触させ たくない」

メイは念を押した。人と同じように猫を 大切にできる人間にしか、子猫達を触ら せたくないから。

シェルの元飼い主・樋口は、今頃どうし ているのだろう。今井が話をつけたらし いが、それ以来、樋口からの連絡はな い。

「もしまた樋口さんが来たら、俺がちゃ んと注意するから! ん…?」

意気込むと同時に、リクのケータイが 鳴った。

ディスプレイを見ると、相手はショウマ だった。久しぶりの連絡。

「こっちに戻ったら話すって言ってたの に、こんなに早く電話してくるなん て……。

実家で何かあったのかも……」

最後に見たショウマのことを思い出し、 また、予定より早い彼からの連絡に、リ クは胸騒ぎを覚えた。

ショウマは家族とうまくいっていないと 言っていたので、なおさら心配だ。