幸せまでの距離


午後を過ぎた、暖かい陽気が庭の芝生を 照らしている。

穴を掘るより、埋める時の方が作業的に は楽なのに、メイは時折、シェルを埋め る両手の動きが鈍るのを感じた。

完成した墓の上に、リクの持ってきた草 花を置く。

「昔、メイとよく行った土手で摘んでき たんだ。

花屋で買っても良かったんだけど、やっ ぱり、シェルには、俺達の思い出の場所 に関係あるものをお供えしたくて」

頭の隅で楽しそうに笑う幼い頃の自分。 毎日の出来事が新鮮で楽しくて、だけ ど、母親に傷つけられて。

墓の前で手を合わせつつ、メイは、弱い 自分を感じていた。紛らわすように質問 する。

「なんでそんなものを供えるの?」

「シェルが生んでくれた子猫達は、俺と メイの子どもみたいな感じだから。

ううん、子どもだと思ってる!」