幸せまでの距離


両手でそっとカナデの手を取り、メグル は労るように言った。

「あたしにぶつけることで楽になれるな ら、何でも言ってください。

その責任が、あたしにはあるので」

知らなかったでは済まされない。メグル は、トウマとカナデの関係を壊したこと に、少なからず罪悪感を覚えていた。

カナデはクスッと小さく笑い、

「罪滅ぼしのつもり? そんなことし たって、トウマは戻らないんだけど」

「……すみません。ただの自己満足で す」

メグルはカナデの手を包んだまま、言っ た。

「好きな人と別れるつらさ、あたしにも 経験あるので、分かりますよ。こう見え ても、それなりに彼氏いたこともありま すしっ」

おどけた口調。そのあと、メグルは真摯 (しんし)な声音で言葉を継いだ。

「失恋の傷はいつか癒えます。でも、人 の死で覚える痛みは、簡単に消えませ ん。

あたし、今年のはじめに、親同然だった ばあちゃんを亡くしました。

だからあたし、つらくても逃げずに生き ようって決めてます。だって、自殺なん かしたら、必死にあたしを育てて守って くれたばあちゃんに申し訳ないか ら……。

これだけは言いたかったんです」