リクとの抱擁で、心に余裕ができた。
眠れなかったメイも、安心感から、 その 後ベッドに横たわり眠ってし まった。
ここへ来て、よかった。
意識が途切れそうになる直前、メイ は 思った。
いつか、こうして目を閉じて死ぬ瞬 間が 自分にもやってくる。
死にたいと急がなくても、放っておけば 人はいつか必ず死ぬ時がくる。
事故死。病死。自然死。今はまだ、死因 など分からない。
ただ、だったら、今すぐ死ぬのはもった いない と、この瞬間メイは感じた。
保が保管していた臍の緒を見た時、 これ までの人生を一瞬忘れ、自分は 望まれて 生まれてきた人間なのだと 思うことがで きた。
人生のほとんどを機能不全家庭で過ごし てきた。
暗い世界に産み落とされて、地図も ない 苦しみの迷路をさ迷い歩いた。
変わろう、変えてやろうだなんて考えた こともな く、与えられる環境に逆らわず に生き続けてきた。


