窓際には、丸テーブルを挟むようにして ふたつのソファーが置かれていた。
二人がそれぞれファーに腰をかけると、 テーブル越しに向き合う形となる。
リクは言いにくそうに切り出した。
「メイ、後悔してない?」
「何を?」
ためらいがちなリクとは正反対に、メイ はいたって冷静だった。静かな瞳でリク を見ている。
「おじさんのこと。
連絡してって言ってたから……」
「それ、本気で訊(き)いてる?
アンタは私に、アイツになつけばいいっ て言ってんの?」
「違う! そういうわけじゃないんだけ どっ!」
リクは慌てて言葉を継いだ。
「なんて言えばいいんだろ……。
俺も、おじさんのことは許せないし、メ イがそう思うのも分かる。
でも、あの人がメイの臍(へそ)の緒を 持ってるの見たとき、嬉しかったのも本 当なんだ。
あれって、妊娠中、母親と子供が繋がっ てたって証だから」
「私も、アイツがそんなの持ってるなん て思わなかった」
何の感情もなく淡々と返すと、保のこと について、メイは自分の考えを話した。


