幸せまでの距離


保に幸せが訪れたように、自分にも人並 みの幸せを手に入れることができるだろ うか?

いつか、リクを真っ正面から愛せる女性 になれるだろうか?

男性への偏見に満ちたこの心を、変えら れるだろうか?


ベッドに寝転んでみても、メイの思考は 止まらず、眠気から遠ざかる一方だっ た。

シャワーを浴びてしまおうか。

メイがベッドから起き上がった瞬間、 ノックの音が部屋に響いた。

「メイ、起きてる……?

なんか寝れなくてさ。

ちょっと、いい?」

リクだった。

どちらにせよ今夜は眠れそうにないの で、メイは彼を部屋に入れることにし た。

「変な考え起こしたら、どうなるか分 かってる?」

メイが釘を刺すと、リクは穏やかに「信 用してよ、大丈夫」と、返した。