幸せまでの距離


“いま、こうしている間も、俺は死に向 かって歩いてるんだ。

俺だけじゃない。

世の中の人全員、みんなそう。

人は、1分1秒ごとに、死に向かって歩 いている。

悪い人も。善い人も。どんな人にも、死 は平等に訪れる。

でも、生きていることが当たり前になる と、この生活が永遠に続くかのように思 えて、ぞんざいに扱っちゃうこともあ る。

それじゃあダメだよな。

生きてるうちに、誇れるものを多く見つ けないと…!”

せっかく生きているのだから、有意義な 日常を過ごしたい、と、リクは思った。

いつか、全身でそう思える日が、メイに も訪れてほしい。

望まれて生まれてきた命なのだから。

誰の真似でもない生き方を。

懸命に輝かせ、美しく生涯を終える方法 を。

リクにとって、メイにはそれだけの尊さ がある。

生きていてくれるだけで、素晴らしい。