幸せまでの距離


『諦めなければ、絶対叶う!』

リクだけではなく、リクの友達もメイにそう言ってくれたことがある。

橘シュン(たちばな·しゅん)。
高山マナ(たかやま·まな)。


メイと同じ屋根の下で寝食を共にしているミズキもそのうちの1人。


親戚との関係で人間不信に陥(おちい)ったシュン。

男性への嫌悪感で苦しみ、自殺をはかったことのあるマナ。

弟が自ら命を断ったことで自分の不甲斐なさを責め続けてきたミズキ。

過保護で厳格な両親からの過干渉と乱暴な無理解に苦しみ、悩んでいたリク。


メイはシュンやマナの過去を知らないし、ミズキやリクの境遇を知っても何もできなかった。

ただ、彼らの姿を見ていたら、ひねくれていた自分の根性も良い方に変われるんじゃないかという気がした。

始めは綺麗事としか思えないことも、実現することで理想の現実となる。

それぞれの過去に絶望し苦しんできただろうシュン達の生き様に、メイは多大な影響を受けた。

何よりも、彼らはメイにとって、宇都宮誠二というニセ弁護士の皮をかぶった悪魔から救ってくれた恩人でもある。