「気が済んだし、帰る」
保の手から臍の緒を奪うと、メイは改札 口に向かった。
黙って様子を見ていたリクは保に一礼 し、急いで彼女を追いかける。
「メイ、いつでも連絡してくれていい!
待ってるから!」
必死な保の声を無視し、メイはホームま で突き進んだ。
父親の声を振り払うように、早足で。
人影の少ないホーム。
次の列車が来るまで、まだまだ時間が あった。
二人は先頭に並び、背中から吹く夜風を 感じていた。
「もっと色々、言わなくてよかった の?」
リクは隣のメイに尋ねた。
「いい」
短く答え、しばらく間を置いた後、メイ は言った。
「私が、望まれて生まれてきた子なん だってこと、少しだけ信じる気になった よ。
あんな親でも、こんなもんずっと保管し てたわけだしね……」
保の手から取り上げた臍の緒を見て、メ イは眉間にシワを寄せた。
「やっぱり私は、アイツを父親だとは思 えないし、許せもしない」
「うん」
「……アイツに会うまでは、全て綺麗に 解決しないといけないような気がしてた けど、必ずそうする必要はないってこと が、ここへ来て分かった」


