ただ、親の愛情がほしかっただけ。
普通に愛されたかっただけ。
この世に産まれてから、他に望みなんて なかった。
幼い頃のメイの心境を思うと、リクの目 には涙が溢れてきた。
もともと彼は、保に会ってこんなことを 言うつもりはなかった。
保に会い、メイに対する父親としての愛 情を確認できれば、それで満足のはず だった。
でも、いざ会ってみると、そんな気持ち は消えて、保や翔子を責めることしかで きない。
それというのも、保の家を見つけた時、 メイの様子が変わったからだ。
ここに向かう途中、無口ながらもどこか 穏やかな表情をしていたメイは、保の自 宅の表札を見て明らかに絶望していた。
それは、メイのことをよく知らない他人 が見たら気付かないほど、小さな変化。
リクだから、気付けたこと。
「あなたはメイを愛してたと言ったけ ど、そんなのを愛情だなんて言わないで ください。
罪の理由に、愛って言葉を軽々しく用い てほしくない」


