幸せまでの距離


病院から知らせを受けたのだろう。

カナデの両親は半泣き状態で彼女のベッ ド脇に駆け寄る。

カナデが無事だと分かると、母親は声を あげて泣いた。

医者に、だいたいの話を聞いたのだろ う。

静かに涙する父親は、メイの方に近付 き、頭を下げ、

「ありがとう。

君がいなかったら、カナデはこうしてい なかった。

本当に、ありがとう…!」

「いえ、別に……」

こういった場面にはやはり慣れず、メイ はぎこちない口調でそう返すのが精一杯 だった。

「じゃあね、帰る」

逃げるようにその場を後にするメイに、 母親が涙声で告げた。

「カナデを助けてくれて、本当にありが とう。

今度、お礼させてちょうだいね」

「そんなの、いいですから……」

「ダメよ、そんなわけにいかないわ。

あなたのしてくれたこと、一生忘れない から」

メイが部屋を出ても、カナデの両親は感 謝の言葉を繰り返していた。


“助けたのは、私じゃなくてリク だ……”

メイは小さく息を吐く。

浴室でカナデを発見した時のことを思い 出した。

もう、カナデは助からない。

あきらめ、何もできなかったメイの横 で、素早くケータイを操作し救急車を呼 び出したのはリクだった。

「メイ、あきらめちゃダメだ…!

女性って、男の人より身体が丈夫だって 聞いたことある!

大丈夫、絶対助かる…!!」

彼の判断が、前向きさが、カナデを救っ たのだ。


メイが病室を出ると、通路にはメグルとリ クがいた。

二人はメイのことを待っていた。