幸せまでの距離


メイの言葉を飲み込み、カナデはしばら く苦しそうな顔で黙っていたが、そのう ちゆっくり上体を起こし、

「……うん。まだ、この辺がヒリヒリす るけど」

包帯を巻いていない方の手で胸をさす り、

「その通り……。

死にたかったけど、生きたかった。

メイちゃんがそう言ってくれるなら、も うちょっとだけ生きてみようかな……。

死ぬのがもったいなく感じてきたし」

持ち前の明るさを少し取り戻したのか、

「もう、変なことは考えない」

「そうしなよ」

空気が変わる。

はりつめたものはどこかへ消え、穏やか な流れが二人を包んでいた。


カナデは言いにくそうに口を開いた。

「メイちゃんが来てくれたの、意外だっ た。

あんなメール、無視されると思ってた し……」

「まあ、そう思われても仕方ないけ ど……」

メイはカナデから視線を外し、窓の外に 見える空を遠い目で眺め、

「アンタは知らないだろうけど、一人の 人間が死んだら、周囲に与える影響は大 きいんだよ。

真っ先にそう思った、それだけ」

メイがそう言い終わらないうちに、病室 の扉が勢い良く開かれ、中に二人の人間 が飛び込んできた。

カナデの両親である。