幸せまでの距離


カナデは小さく息を吐き、

「親に反対されたの。

最初は納得できなくて、強く反発した。

ウチの親は優しいから、絶対、私の夢に 賛成してくれるって期待してたの。

なのに、『もしカナデが芸能界に入った ら、お父さんとお母さんは、カナデと親 子の縁を切る』とまで言われてさ。

ショックでショックで。

朝まで泣いたよ……。


次の日、気まずい気分で友達にそう報告 したら、友達も、全く同じ理由で親に反 対されてた。

『芸能界なんて、お前達が思ってるよう な綺麗な世界じゃない。

歌手になりたい?

好きにしろ、そしたら勘当(かんどう) 切る』

友達も親に、そう言われたんだっ て……。

私達、それから何日も親のグチを言い 合って、無理に夢を諦めた。

どうしてそんなに強く反対されるのか、 あの時は全然分からなかったし……。


でも、今ならよく分かる。


高校の時、友達がスカウトされて、芸能 事務所まで話聞きに行ったらしいんだけ ど、いきなり、偉い人と性交渉するよう に言われたんだって。

寝たら仕事取れるよ、って。

そのコ、『そんなことするかボケ! 頭 にきたからすぐ帰ってきた!』って、め ちゃくちゃ怒ってた。

その話、半信半疑で聞いてたけど、今なら信じられる……」