幸せまでの距離


「そんなの、慣れることじゃない……」

リクは言った。

「今までだって、メイはたくさん、いろ んなこと我慢してきたはずだ……。

もう、気持ちを抑えることない。

家族や俺の前でくらい、正直にいてよ」

メイを楽にするための言葉だった。

いつものメイなら、リクが男だというだ けで無意味に反抗していただろうが、今 は違っていた。

追いつめられたカナデを見てしまったこ とだけでなく、リクと向き合うと決めた から。

「……そうだね。

私には難しいけど、今後、ありのままの 自分を出せるよう、努力はするつもり」

「うん、それがいいよ」

しばらくすると、メイは立ち上がった。

「もうすぐメグルが来るから、迎えにい く」

「うん。わかった。

俺も行く……!」

リクもメイに続いて、病院の出入口に向 かった。


メグルとカナデの間にあったこと。

トウマの夢。彼が犯した罪。

リクはそれを知らないが、メイがメグル に電話をした時点で、今回の件にメグル が関係しているのだと察した。