ゴールデンウイークは、まだ、始まった ばかり。
世間は、普段ないにぎわいを見せてい た。
海外旅行に向かう者も多く、空港は混み 合っているらしい。
有名ショッピングモールや商店街も、稼 ぎ時だと言わんばかりだ。
どこを見ても、買い手と売り手の気配で 活気に満ちている。
メイの通う専門学校の生徒達も、イベン ト本番の日を迎えていた。
3日間に渡り、市内の大型デパートの大 ホールで、対面式のスイーツ販売を行う のだ。
メイやカナデのグループは、先輩パティ シエが行うデコレーションケーキ作りの 補助をすることになっている。
販売イベントは午後から始まるので、メ イ達のグループは、朝早くからデパート 内の厨房に入らなければならない。
下準備をはじめ、期間中に使われる材料 の確認、器材の搬入をしなければならな いからだ。
先輩達が来る前に、メイ達でそれをやっ ておかなければならない。
早朝に家を出たメイは、あらかじめ学校 からもらっていたイベント用のしおりを 片手に、デパートの裏口へ向かった。
警備員室で名簿に名前を書き、更衣室で コックコートに着替え、厨房に入った。
まだ誰もいない朝のデパートは、想像以 上に静かだった。
「メイちゃん、おはよ!
今日は楽しみつつがんばろうね」
先に来ていた同じグループの女子生徒 が、メイに話しかけてくる。
適当に返事をし、メイは担当作業に移っ た。
カナデはまだ、来ていない。
自分の作業が終わると、後から到着した メンバーの作業を手伝いつつ、メイはカ ナデが来るのを待った。
何度か厨房の出入口に視線をやったが、 到着予定時刻を過ぎても、カナデは現れ なかった。
もうすぐ、時計の針は午前10時を指 す。
大方の準備は済み、あとは先輩達の到着 を待つだけなのだが、さすがに、グルー プのメンバーも、姿を見せないカナデの ことを心配し始めた。
「メイちゃん、カナデちゃんから何か聞 いてない?」
「ううん、何も……」
「そっかぁ……。さすがに、遅刻だとし ても、遅すぎるよね。
もうすぐ先輩や先生も来るし、ヤバい よ……」


