正面からメイを抱きしめ、ミズキは言っ た。
「この前、パソコンかしたよね。
アクセス履歴、見ちゃった……。
自殺の方法、探してたの……?」
「……だって、生きる方法なんて分から なかった。
償いの手段だって見つからない。
私には、ミズキみたいにカウンセリング の仕事をする器もない。
学もないし、だからといって、いまさら 勉強好きにはなれないし、自慢できるこ とや特技もない……。
普通の女みたいに、結婚願望もな い……。
悪い部分ばかり。
どっからどう見ても、欠点しか見つけら れない。
生きてる価値、ない……!」
「たしかに私は、リョウのことがキッカ ケで臨床心理士を目指したけど、それだ けが償いの方法じゃないんだよ。
みんな、メイの作ったケーキ、ほめて た」
ミズキは、日中の出来事を話した。
メイとリクが参加できなかった、シュン の誕生日会。
メイの作ったケーキは参加メンバー達に 好評だった。
「みんな、おかわりしたいって言い出し て、余分に作っておいた分だけじゃ足り なくなっちゃったんだよ」
「あんなの、学校行ってる人なら誰だっ て作れ……」
「そんなことないよ。
誰にだって、苦手なものもあれば、得意 なことも必ずある。
それを見出だせたメイはすごいんだよ。
学校に行った影響もあると思うけど、メ イに才能がある証拠だよ。
あのケーキはメイにしか作れなかったっ て、私も思う。
優しくて、心に残る味だった……。
おいしいもので人を笑顔にするのも、嬉 しいものでしょ?
じゅうぶん、償いになる」
「……」
「メイにとって、今までの人生は、悲観 するものでしかなかったかもしれない。
だったら、これから作っていけばいい。
幸せになるための努力に、遅いも早いも ないんだよ。
メイは、メイだけの花を咲かせて。
いまがんばれば、必ず輝ける時がく る……!
つらくても、両足で地面を踏みしめて、 前を見ようよ。
私も支えるから……ね?」


