幸せまでの距離


ミズキはメイの横に座り、彼女の肩を そっと抱いた。

「リク君と、何かあった?」

「アイツはまだ、私を好きみたい。

そう言われそうになったから、言わせな かった。

聞きたくなかった。


傷の手当てしたり、私の父に会うって 言ってみたり……。

私が別れたいって言った時のこと、すっ かり忘れたみたいな顔して、アイツはそ んな話してた」

メイの指先に貼られた絆創膏。

ミズキはそれを見つめ、

「……忘れられるわけないよ。

好きな人との別れを望む人なんて、まし てや、すんなり受け入れられる人なん て、めったにいない」

「いるよ、ここに」

メイは、リクへの恋を自覚している。

リョウの時とは違う形だけれど、それで も、この感情を、メイは知っている。

リクを前にすると、冷静ではいられない こと。

「ミズキ、言ったよね。

リョウが死んだ時、付き合ってた男と別 れたって。

誰にも心を開けなくなったって。

なのに、どうしてまた、男と……ナナセ と付き合う気になった?

夢を見つけて、それを追いかける気に なった?


強すぎるよ、ミズキは……。

強すぎて、私は理解できない」

「強くなんかない。

こうなる前に、たくさん挫折しそうに なったんだよ。

恋もそうだし、夢に関しても」