とんなにやる瀬ない日でも、空には月が 浮かぶ。
閉じたカーテンをなにげなく開くと、細 い隙間に、月の光が射した。
今夜も良い天気だ。
それがなおさら、メイの気持ちをしめつ ける。
「子猫達、メイの帰りを待ちわびて、 ずっと鳴いてたよ。
ご飯はもうあげたけど、メイがいないと やっぱり落ち着けないみたい。
少しでいいから、様子見に行ってあげ て?
その子のことは、私とお母さんに任せ て」
ミズキに言われ、メイはいったん立ち上 がり、2階の自室に向かった。
階段をのぼりきる少し前から、扉をこす る音がした。
メイの部屋にいる子猫達が、扉をツメで 引っかいているのかもしれない。
メイは急いで自分の部屋に駆け込んだ。
やはり、扉にツメを立てていたのは、幼 い猫達だった。
メイの帰宅が普段より遅かったのを、不 安に思ったのかもしれない。
メイが現れ、彼女が床に座り込むなり、 猫達はスッとおとなしくなり、それぞれ が、メイにすりよる。
柔らかい毛の感触と生きた体温が、メイ の肌を伝った。
猫達を一匹一匹抱き上げていると、死に たい気持ちや、誰かへの怒りも、忘れそ うになった。
「あんたたちは、長生きしてね……。
私も、生きるの頑張ってみるから」
つぶやき、涙が出た。
猫の命はこんなにもあたたかく、自分を 癒し、救ってくれる……。
扉が開き、ミズキが入ってきた。
いつもノックするミズキが、今は何も言 わず入ってくる。
「……リク君は?
一緒に帰ってくると思ってたよ」
「…………こわい。
私に、人を好きになる資格あるの? な いよね」
メイは猫をなでながら、うつむき、言っ た。
「私は、これ以上、何もいらない。
今でも充分、恵まれてると思ってる」


