幸せまでの距離


後の方、リクの声は震えていた。

彼は泣くのを我慢した。

「こんな小さい体で、たくさんのもの背 負い過ぎなんだよ……。

メイは、樋口さんとは全然違う……!

ちょっと不器用で、うんと優しく て……。

昔からメイは、甘えん坊なところがあっ て……」

“強がるクセに弱くて、必死に立とうと してる。

だから、好きでいるのをやめられないん だよ……。

メイのことが、こんなに……”

抱きしめたくなる。

同時に泣きたくなる。

リクは自分の気持ちを必死に抑え、軽く 笑って見せた。

メイにとったら、彼女の罪は樋口と同じ ものなのだろう。

けれど、リクはどうしてもそうは思えな かった。


抱いた猫をそのままに、メイは伏し目で 尋ねた。

「じゃあ、想像してみて?

ここに拳銃があるとする。

私がそれを手に取り、アンタに向かって 引き金を引かないって、心の底から信じ られる?」

「信じられるよ。

メイは絶対、そんなことしない」