幸せまでの距離


歩道橋を離れ、リクはメイを自宅まで送 る。

静かな歩道。

二人は、薄暗い道を歩いた。

ひんやりしたコンクリートに、二人分の 足音が、小さく、大きく、響く。


リクは、樋口宅に残った今井のことを気 にした。

「今ごろ、今井さんと樋口さん、会って 話してる頃かな?

今井さんの想い、樋口さんに通じるとい いんだけど……」

「さあね。通じてようが揉めてようが、 この子はもう生き返らない」

二人とも、死んで償え。

そう言いかけ、メイはやめた。

“昔、私もあいつらと同じことをしたん だ。

なのに、こうして生きてる……”


「どっちにしても、樋口さんは、したこ とを償わなきゃいけないよな」

リクはメイの両腕にいる猫を見つめ、熱 の込もった口調で言う。