自分の存在が、リクに感謝されることに なるなんて。
どういう反応をしたらいいのか、メイに は分からなかった。
それは、家で猫の飼育を許された時の感 覚に似ている。
“それってどういう意味?
……分からない”
聞き返そうとしても、言葉にできない。
そんなメイを前に、リクは言った。
「兄弟みたいなもんだろ、俺達。
これからも何かあったら真っ先に助け る。
だから、困ったことがあれば、何でも 言ってな?」
「……そんな状況にならないから平気」
突き放すことでしか、メイは自分を表現 できなかった。
彼女の心境を読むかのごとく、リクは微 笑で返す。
それきり、また、二人は静かな道のりを 歩いた。
しばらく歩くと、人通りの多い繁華街に 出た。
予想外に人が多く、今が夜だということ を忘れてしまいそうになる。
メイは反射的に、メグルとカナデがトラ ブルを起こした夜のことを思い出した。
鮮やかなネオンが眩しい。
夜の街路は、昼間には見られない怪しい 雰囲気をかもしだしていた。
キャバクラやバー、居酒屋が入ったビル が脇に連立する歩道。
そこを過ぎた時、リクは両腕に抱いてい た猫をメイにあずけ、
「ちょっと待ってて」
目の前のコンビニに入っていった。


