幸せまでの距離


外灯の多かった公園と違い、住宅街の路 地は薄暗かった。

リクはメイより少し先を歩き、前を向い たまま言った。

「メイがいてくれたから。

メイが弱ってる時に、俺まで弱るワケに いかないだろ?

二人して倒れたら、立ち上がれなくなっ ちゃうし。


俺が、今の自分でいられるのは、メイの おかげ。

みんなみんな、そう。

憎しみを糧(かて)に頑張れるのも、メ イがいたから。

俺一人だったら、こうはなってなかっ た。

メイと出会えてなかったら、ぬるま湯み たいな毎日を、のらりくらり過ごしてた と思う」

メイは立ち止まりその意味を考えたが、 理解できなかった。

「私、アンタのためにしてきたことなん て何もないんだけど……」

リクはメイの方を振り返って微笑し、わ ざとおどけた口調をした。

「何言ってんだよ。

それ、本気ー?

メイが怒りをぶつけてくれなかったら、 俺はここまで世の中の闇について考える ことはできなかったよ。

本当に、感謝してる。

大事なことに気付かせてくれて、ありが とう」


怒りの感情には、人間の本質が表れると 言われている。

何に怒りを覚えるかで、その人の人生観 や内面が見えると言っても過言ではな い。