世の中はうまくいかないことだらけだ、 と、メイは思った。
今なら、リクのことを、以前よりまっす ぐ見られるかもしれない。
苦手なものを克服できるかもしれない。
異性への恐怖心ゆえに偏見に満ちた日常 を、少しずつ、良い方向に変えられるか もしれない。
そう思うのに、今リクは、他の女性を見 ている……。
長年、リクの気持ちを感じながら付き 合ってきたメイは、彼の想いが理解でき ず、常にリクの存在を重たく感じていた し、だからこそ、彼に新しい恋愛が訪れ てほしいと願っていた。
今、やっとそうなって、安心したはずな のに。
人の感情は、毎時間、毎秒、絶え間なく 変わるものなのだと、メイは身をもって 知った。
そして、物事にはタイミングが大切だと いうことも……。
“もうリクは私の特別でも何でもなく て、だからこそ、今、こうやって普通に 接することができるのに……”
……悲しいのは、なぜ?
そう口にする代わりに、メイは尋ねた。
「どうしてアンタは、周りに敵がいると 感じてもそうやってノンキでいられる の?」
「昔から変わらないな、メイは。
そういうとこ」
リクはゆったりした歩調でメイの背を押 し、公園を出る。


