しばらくの間、二人は黙り込んだまま だった。
しゃがんだ体勢で、掘った穴を見つめて いた。
そうしていても、メイは猫を埋める気に はなれなかった。
今ごろ、シュンの誕生日会も終わり、参 加メンバー達は、各自帰宅しているだろ う。
風も冷たくなってきて、近くの雑草が揺 れる音がする。
メイの指先についた土混じりの血はかた まりつつあるし、水に濡れていた親猫の 体も完全に乾いている。
リクは立ち上がり、
「とりあえず、手、洗お?
昔と変わってなければ、近くの公園に水 道があるはず。
メイ、ケガしてるし」
「たいしたことない」
メイも立ち上がり、猫を抱きしめたまま 穴を見下ろした。
「ばい菌入ったら、まずいだろ?
ただでさえ、メイの学校は手を使う授業 が多いんだから、大事にしないと」
メイの悲しみを癒すように、リクは穏や かな口調を意識した。
「相変わらず、お節介……。
人の心配より、自分の心配すれば?」
返すメイの言葉は、前とさほど変わらな い内容なのに、そこに込められた感情は 以前のものとは違う。
「はいはい。どうせ俺はお節介なお母さ んキャラですよーだ」
「変なの。
馬鹿がよけい馬鹿に見える」
「いいもんね、何とでも言ったらいい よ。
とにかく、家まで送るから。
まだ埋めたくないのなら、今日は一晩 中、その子のそばにいた方がいいと思う し。
帰って、これからのことは、ゆっくり考 えよう?」
「……この子を、あの子達には見せられ ない」
メイは、子猫達のことを思い、帰宅をし ぶった。
「いつか知ることになるなら、早い方が いいよ。
それに、子猫達は、メイの帰りを待って る。
もちろん、ミズキちゃんだって」
リクは親猫の頭をなでながら、メイを帰 宅させようとする。


