幸せまでの距離


弱々しいメイの横顔を見て、リクは彼女 を抱きしめたい衝動にかられたが、寸前 のところで我慢し、言った。

「死にたい気持ち、否定しない」

「…………前のアンタなら、こういうこ とには、かたっぱしから反対してたの に」

「うん。そうだったな……。

悪かったと思う、ごめんな」

「何で謝るの?」

「だって、それって、今のメイを否定す るのと同じだから。

一人一人、思考が違って当然だし」

「…………」

メイはけげんな顔でリクを見やる。

以前の彼とは、少し違うように感じたか らだ。

「俺は、こう思うんだ。

メイはこれまで、苦しむことが多かった かもしれない。

体験してない俺には想像しかできないけ ど、忘れたい出来事に直面して、数え切 れないくらい、死にたくなったと思う。

ただ、間違いなく分かるのは、

メイがこの世に生まれた瞬間、メイは周 りの大人達に望まれて生まれてきたん だってこと。

祝福されて、生まれてきたんだ。

そうじゃなきゃ、メイは今、ここに存在 しないはずだから。


……このゴールデンウイーク中に、それ を確かめに行く」

「確かめる……?」

メイは不快そうな表情で驚きを示す。

「おじさん…メイの父親に、会いに行 く。

どこに住んでるかも、知ってるから」

メイの体は、炎に包まれたように熱くな る。

リクが何を言っているのか、すぐには理 解できなかった。

「アイツに会う!?

何のために……!?」

思い出したくもない、心の傷の元凶。

メイにとって、生き別れた父親は、実母 の翔子以上に憎い相手だった。