「うん……。こんなこと、俺も許せな い」
リクは同調したが、メイは彼をきつくに らみつけ、強く反発した。
「だったら……! なんでさっき、私を 止めたの?
あんなヤツ、生きてる資格ないじゃん!
殺した方が、世の中のためだ」
「樋口さんを殺したら、同じことの繰り 返しになる!
俺だって樋口さんは嫌いだし、消えたら いいって思う!
でも、あんな人にだって親がいるし、今 井さんだって、樋口さんを大事に想って る!
もしメイが樋口さんを殺したら、今度は メイがそういう人達から憎まれることに なるよ!
復讐は憎しみを増やすだけで、何の解決 にもならない……。
憎しみの連鎖はどこかで裁ち切らな きゃ、誰も幸せになんてなれな い……!」
「そんなの、知ったことじゃない……。
アイツを殺して、私も死ぬつもりだっ た」
「それ、本気!?」
リクは両手でメイの肩をつかみ、彼女の 目を見た。
全てに関して投げやりになったメイの瞳 は、海の底を連想させるほど冷たく、こ こに吹く冷たい風が、それをより強調し ているようだった。
「『憎しみの連鎖』いいこと言う ね……。
そうだよ。人として生きてる限り、負の 感情はついてまわるんだよ。
忘れたい過去も、傷を負ったことも、悲 しいだけの現実も……。
良い方に変えたいって願ったり、何かを 望んでみたって、そんなの何の足しにも ならないし。
だったら、死んだ方が楽じゃん……。
不愉快な思いをしてまで、どうしてこん なくだらない日常を生きていかなきゃい けないの?
それで、何か得がある?
この子だって、もう、死んでしまったの に……」
メイは親猫を抱きしめ、涙を流した。


