メイにとって、捨てられた白猫達は、自 分の分身にも感じられた。
捨てられても生きることをあきらめず、 健気に生きた白猫親子。
幼い頃からすっぽり開いた心の穴を埋 め、メイにつきまとう孤独感を癒してく れたのも猫達だった。
大切なものを奪われた怒りと悲しさ。
愛着の湧いた相手をこういう形で失うの は、とてつもなく悔しく、やる瀬ないも のだと知る。
メイは生まれて初めてそういう感情を覚 えた。
「……抱かせて」
メイは今井から親猫をあずかり、弱い力 で抱きしめた。
水に沈めて殺されたのだろうか。
猫を抱くと、メイの服はぐっしょりと濡 れる。
この体で甘えられた時のことを、メイは 昨日のことのように思い出していた。
早く助け出せていれば、もっと生きられ たはず――。
なぜ、猫がこんな目に遭(あ)わなければなら なかったのか。
無言のままうちひしがれるメイに、今井 は泣きながら謝った。
「星崎さんに送った画像は、昨日撮った 物じゃないんだ。
僕のせいで、こんなことに……」
「どういうことですか?」
メイの代わりに、リクが尋ねた。
今井の言葉は、親猫を殺したのは樋口だ ということを、暗に示している……。
今井はためらいなく話した。
大学時代のこと。
妻以外の女性に目を向け、樋口の信頼を 失い、それからは、樋口の顔色をうかが いながら付き合ってきた、と。
昨日ミズキに送った画像は、だいぶ前に 撮影されたものである、と。


