こうしてこだわりなく話せるのは、二人 が“単なる幼なじみ”という仮面をつ け、大切な気持ちを胸の奥にしまいこん でいるから。
それでもリクは、この時間を幸せに感じ た。
以前のように、メイのそばにいられるこ と。
彼女の声が、この耳に届くこと。
「にしても、ショウマのことあのまま帰 して良かったの?」
メイは言った。
「見るからに、おかしかったけど」
「うん、何なんだろうな?
今日会った時から、イライラしててさ。
ショウマんち、ちょっといろいろあっ て、親とあまりうまくいってないみたい なんだ」
「そう……」
「何か力になれたらいいんだけど、あん まり口出すのも、気が引けるし……。
でも、見てるだけってのもキツイよな」
「……お節介なとこは変わりないね。
今の彼女にも、そう言われない?」
他意なく、メイは尋ねた。
リクの胸は痛む。
ショウマに乗せられるまま、とっさに好 きな子がいるとウソをついてしまったこ とを、すっかり忘れていた。
「……メイ、それはっ……!」
「言い訳なんかしなくていいよ。
それでいいんだ。
アンタは私にばかり、かまい過ぎだった んだよ。
やっと、違う世界に行けたんだね」
「あのさ、あれは、そうじゃなくて、実 は……」
リクが本当のことを告白しようとした 時、待ち合わせていた今井がやってき た。
メイの意識は、リクとの会話から今井の 顔へと向けられた。
ミズキから話を聞いただけなので、メイ にとってはこれが今井との初対面であ る。
一睡もしていないらしく、今井はひどく 疲れた顔をしていた。
心なしか顔色もすぐれないが、彼はリク の顔を見るなり明るい声で、
「君は……!」
リクは今井の言葉をごまかすように大声 で、
「あのっ、星崎さんとは仲良くしてるん ですっ。
今から直で樋口さんちに行くんですよ ね?」
と、今井をうながした。
「あ、ああ! 行こうか」
今井を先頭に、三人は樋口宅に向かっ た。
住宅街の歩道を歩き、いくつかの交差点 を後にする。
彼らの足取りは何者かに追われているよ うに早く、緊張に満ちていた。


