幸せまでの距離


メイは気がかりだった。

劇団の関係者が、カナデとトウマの関係 を引き離し、壊してしまうのではない か、と。

実際、芸能人の恋愛が事務所の人間に よってもみ消される例は、いくらでもあ る……。

事務所が売り出したい俳優・女優が対象 なら、なおさらその傾向は強まる。


カナデは心からトウマを愛している。

“私には一生味わえない感覚を、カナデ は知ってる”

心から人を愛する行為。

自分の身を壊してまで、カナデはトウマ のために尽くしていた。

メイは、彼女の愛情深いところをうらや ましいと思うと同時に、惹かれ、認めて いた。


「……今の、友達?」

リクは心配そうにメイの顔を覗き込む。

「友達……?」

――…友達。自分には縁のない存在だっ たし、カナデとは友人関係に当たるのだ ろうか?

分からなかったメイは、

「友達じゃないけど、授業のグループが 一緒だから、今日、一応誘っておいた。

結局、来れないみたいだけど」

そういう説明しかできなかった。

「てことは、友達なんだ」

リクは嬉しそうに断言した。

「別に、そんなんじゃ……。

他人と馴れ合う気はない」

メイはそう言ったが、リクは、それがメ イの本心ではないと見抜いていた。

「ホントに? メイ、電話切ってから すっごい心配そうに考え込んでた。

そのコのこと、心配してたんじゃない?

何で来れなくなったのかな~、とか。

それってもう、立派な友達じゃんっ」

「……」

「良かったな。

本当は、ずっと、そういう友達が欲し かったんだろ?」

「そんなこと言った覚えない」

「忘れてるだけだって」

昔、誰からも相手にされず寂しい生活を 送っていたメイの姿は、リクの胸に焼き 付いていた。


あれだけ不安だったリクとの再会も、気 がつくと、何でもなく過ぎている。

メイはそれを不思議に感じつつ、こうい う会話も悪くないと思えた。