ショウマがいなくなると、メイとリクは 二人きりになった。
コンビニには絶え間なく客が来るのに、 二人の周りだけは、際立って静かな空気 が流れている。
昼過ぎの柔らかい太陽の光が、コンビニ の敷地にもまんべんなく射していた。
胸を裂く別れなど夢だったかのように、 心地良いあたたかさを、二人は感じてい た。
「ミズキちゃんに、連絡しといた方がい いんじゃない?」
リクはメイに、ミズキへの連絡を勧め た。
今頃、シュンの誕生日会は何の問題もな く進行しているだろうが、ミズキとマナ だけは、メイが居なくなったことで気が 気じゃないだろう。
「うん……」
メイが電話をすると、ミズキはすぐさま 電話に出た。
きっと、常にケータイのディスプレイを 気にしていたのだろう。
『メイ……! カズ君から外に行ったっ て聞いたけど、顔色悪かったのに出歩い て大丈夫なの?』
「いきなり消えてごめん。
でも、もう平気だから」
メイは今井と待ち合わせしていることを 話した。
「シュンの誕生日会は、行けない。
今井と一緒に樋口んちに行って、親猫を 助ける」
『でも、今井さんは、親猫は無事だっ て……!
それに、メイ一人じゃ危険だよ……!
さっき、リク君とショウマ君がメイを探 しに出たけど、二人には会えた?』
「ショウマは実家に帰ったし、リクなら 横にいる。
たしかに、今井は猫の画像を送ってきた けど、嫌な予感がする。
やっぱり、目に見える場所にいなきゃ、 安心なんてできない……!」
『……わかった。
私も今からそっちに行く!』
ミズキは申し出たが、メイはそれを断っ た。
「ううん。ミズキはシュンの友達で しょ?
こっちには来なくていい。そっちにい て」
誕生日を祝ってもらう……。
長年親に嫌われ続けていたメイにはほと んど記憶にない経験だが、それでも、自 分の誕生日を祝ってもらって喜ばない人 などいないことは、分かっていた。
「メイ、かして!」
リクはメイからケータイを受け取り、
「シュン君には悪いけど、俺もそっちに は行かない!」
と、メイに同行することをミズキに告げ た。


