幸せまでの距離


今井が到着するまでの間、コンビニの前 で佇む三人の間にはぎこちない空気が流 れていた。

親猫の心配をするあまり、メイは黙りこ くっていたし、ショウマはショウマで、 何があったのか分からないが心底機嫌が 悪そうだ。

リクは視線の動きだけで二人を見つつ も、せっかく念願だったメイとの再会を 果たしたのだから、このまま無言でいて はいけないと思った。

“これじゃあ、今までと同じだ……!”

待っているだけじゃ、メイとの間に立ち ふさがる壁は壊せない。

リクが思い切ってメイに話しかけようと した時、ショウマのケータイが鳴った。

彼はしばらく呼び出し音を無視していた が、何度かそれが続くとわずらわしくな り、リク達から少し離れ、憮然(ぶぜ ん)たる面持ちで電話に出た。

しばらくして電話を終えたショウマは、

「ごめん、リク。

こんな時に悪いけど、今から実家帰る わ。

もしこの後誕生日会に戻るなら、シュン 君達に謝っといて?」

と、突然、遠方への帰省を告げた。

「実家で、何かあったの?」

「……まあ、ちょっと面倒なことがあっ てさ。

電話じゃ話にならないから、帰って話つ けてくる。

連休明ける前にはこっち戻るから、詳し いことはまたその時にでも話すわ」

短い言葉を残し、ショウマはその場を 去った。

一人暮らしを選ぶほど家族との関わりを 避けていたショウマが、前々から心待ち にしていたゴールデンウイークに実家に 帰るなんて……。

今日、彼の機嫌が良くないのはそのせい なのだろうか?

何があったのか、さすがにリクも少し気 になったが、ショウマなら大丈夫だろう と、安心感もあった。

“今は、目の前のメイちゃんのことだけ 考えて”

去り際、ショウマは視線でリクをうなが す。

リクもそれを正しく受け取り、ショウマ の背中を見送った。