幸せまでの距離


専門学校の敷地内は外から見るより広く、実習などに使われる5階建ての本館ビルと、別館なる体育館ほどの大きさの建物が並んでいた。


「頑張ってね、メイ。終わったら校門の前で待ってるわ」

「うん」

メイと菜月は、入学式が行われる別館の前で帰りの待ち合わせ場所を決め、それぞれ学生席と保護者席に別れると、行儀良く並んでいるパイプイスに腰を落ち着けた。

入学式開始まであと30分。だいぶ余裕がある。

今日からメイの仲間になるだろう学生達の姿もパラパラと散らばる程度にしか来ていない。

みんな、自由に自分の席を確保し、思い思いに過ごしている。

館内禁煙のプラカードを無視してタバコを吸う男子。

うつむいたまま入学式のパンフレットに目を落としている女子。

元々友達同士なのだろうか、2人組の女子は鏡と向き合い化粧をしながら、互いの顔をチェックしあい、笑ったりグロスを塗り直したり、忙しそうにしている。

メイは彼女達の様子を見て、胸をギュッと圧迫されるような感覚を覚えた。

これから1年続く専門学校生活の中で、友達というものが作れるのだろうか……。

ここへきて、過去の出来事ゆえに生まれる対人面への不安が頭をかすめた。

メイは今までの人生で、同級生に嫌われてばかりいた。