マナがダイニングに入ったのを見計らう と、メイはトイレには行かず廊下を歩 き、玄関の扉を開ける。
外には、カズがいた。
彼は、マナに命じられて家の掃除を終 え、今は、玄関先から門前までの掃き掃 除や、庭の植物に水やりをしているとこ ろだった。
「メイちゃん……!
ケーキ作りおつかれさま!
どっか行くの?」
「コンビニ。すぐ戻る」
「買い出し?
ついてこっか?
荷物持つよ」
「そんなに買うつもりないから、いい。
一人で行ける」
「ならいいけど。
気をつけてね」
カズは手を振ってメイを見送る。
いつも、そうやって家族の外出を見送っ ているかのように。
メイは一度だけカズを振り向くと、ため らいなく前に進んだ。
こんなにも空気があたたかいのは、春の せいだけではなさそうだ。
“カズって、マナさんより2歳下の弟 だっけ。
いま、南高の3年、か……。
去年の今頃、私も高3だったな”
リクの後輩に当たるカズ。
もし、自分にも血のつながった兄弟がい たとしたら、今頃どんな人生を送ってい たのだろう。
その兄弟と、どんな関係を築いていたの だろう。
マナとカズのように、仲良くケンカをで きる間柄になっていただろうか。
メイは一瞬、そんな想像をしたのだっ た。


