幸せまでの距離


心と体はつながっていると言うが、それ は本当らしい。

メイは今、自分の体でそれを感じてい た。

リクとの再会に心が震える。

恐怖心でもなく、高揚感でもなく、気持 ちがおびえていた。

それにともない、体まで力を無くし、 弱っていくようで……。

だが、いつまでもこうして休んでいるわ けにはいかない。

意外なほどリクの存在にこだわる自分は 負担だが、今は、樋口から親猫を救い出 すことだけを考えなければ。

小動物とはいえ、かつて、同級生のペッ トをためらいなく殺した男だ。

都合が悪くなったら、樋口はまた、親猫 を捨てようとしたり、ひどい目にあわせ るだろう。


今井から親猫の画像をもらってミズキは 油断しているようだが、メイはやはり安 心できなかった。


様々なことで打ち砕かれそうになる精神 に耐え、メイはゆっくり立ち上がると、 ダイニングでミズキと話していたマナ に、声をかけた。

「マナさん、トイレってどこ?」

「トイレはね、こっちだよ。

もう、立ち上がって大丈夫なの?」

「うん」

「よかった」

マナはトイレまでメイを案内し、

「ミズキちゃんと、ダイニングで待って るね」

と、戻っていった。